2018/05/05
四国八十八ヶ所歩き遍路の中でも、屈指の急勾配で知られている難所中の難所!それは第11番藤井寺から、第12番焼山寺へのへんろ道です。
ここには巨杉の深山に分け入る、遍路ころがしの峠越えが待っているのです!今でこそバスや車で楽に移動できるようにはなりましたが、かつての苦難を偲びたいものです。(henro in shikoku, japan)
目次
徳島県の難所を行く!
四国八十八ヶ所を、バスや車でお参りできるようになったのは戦後になってからのことです。遥か昔から徒歩で巡拝してきた遍路にとって、旧遍路道には旅の覚悟を試される難所がいくつも存在しています。
第11番藤井寺(ふじいでら)から、標高938mの山腹に建つ第12番焼山寺(しょうざんじ)への道のりは、歩き遍路が出会う最初の難関になります。
ここでは登りと下りを2度繰り返す、全長約12km、そして標高差の累積は1100mの山越えになります。「「遍路ころがし」と恐れられる急勾配が続くので、健脚であっても5時間は掛かります。
いよいよ藤井寺を出発!
藤井寺の本堂の左脇に旧へんろ道の案内板を見つつ、本格的な山道にいよいよ入って行きます。さあ、いざ出発です!初めはいい眺めが続きますが、そのうちに獣道のような雰囲気へと変わっていきます。
一瞬たりとも気が抜けないような、そんな獣道です。ここを歩いていると、焼山がもともと修行道の盛んな土地だったというのもうなづけます。
その山道は背の高い木立に覆われて、独特の雰囲気を醸し出しています。さすが修験道の修行地にふさわしい幽玄の趣です。
その所々には「へんろみち」とか、「元気を出して前進」などと書かれた道標が掛けられていて、歩き遍路たちを導いてくれます。
3つの庵でひと休憩
焼山寺までの工程には、途中に3か所の庵があります。藤井寺から約3km登った場所に最初に現れるこじんまりとしたお堂は、「長戸庵(ちょうどあん)」という無人の庵になります。
この長戸庵は登り口と、次の柳庵とのちょうど中ほどにあるので休憩に最適です。
さらに登り進めていくと今度は、焼山寺までのちょうど中間地点の辺りに、「柳水庵(りゅうすいあん)」(流水庵)が建っています。ここは道中に数少ない水場があって、湧き水の「柳の水」が渇きを潤してくれます。
柳水庵は番外札所にもなっていて、大師伝説の残る湧き水が湧きだしています。この清水は遍路の命水とも言われています。柳水庵はかつては名物宿とうわさされた庵ではありましたが、現在では宿泊は受け入れていません。
そして3つ目の庵がある、遍路姿の大師像が迎えてくれる「一本杉庵」(浄蓮庵/じょうれんあん)の付近では、遠くに焼山寺の姿を望むことができて、歩き遍路を喜ばせてくれます。
一本杉庵では、見事な巨杉と大師の像が迎えてくれます。ここではぜひ足を休めて、また歩き遍路同士で苦労を分かち合うのも良いでしょう。
八十八ヶ所の札所で3番目に標高の高い焼山寺
一本杉庵を後にすると、下り始めた森の途中で突然視界が開けてきます。ここから望める山並みの美しい眺めは、歩き遍路だけの特権です。もちろん次の目的地の焼山寺も見えます。
けれども残る道のアップダウンは、まだまだきついのです。ここからが、足腰にかなりこたえる道が続きます。口から自然と「南無大師遍照金剛」と、つぶやきがもれるかもしれませんよ。
そう唱えながら杉山の斜面を這うほどに急な下り坂を下り終えたら、いよいよ集落と舗装された道に合流しますが、また杉並木立の間をひたすら登り続けるのです。
焼山寺まではあとひと頑張りです!急な坂道を登り続けていくと、やっと焼山寺の仁王門が見えてきます。ちなみにお寺の標高は約700mに位置しています。これは八十八ある札所のなかで、3番目に標高が高いことを意味しています。
おわりに
こうして焼山寺に到着した歩き遍路は、少したくましくなっていきます。まだまだ始まったばかりの、そしてこれからが長い旅を続けていく自信が芽生える道、それが焼山の峠越えなのです!
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