2018/05/05
「歴史の道百選」に選ばれた「萩往還」とは、慶長9年(1604年)の萩城築城後、毛利公の「お成り道」として開かれました。
城下町萩(萩市)と、瀬都内の港三田尻(防府市)をほぼ直線で結んでいて、その全長はおよそ53kmにもなります。今回はこの歴史ある萩往還についてご紹介します!(hagi in yamaguchi japan)
目次
陰陽連絡道の萩往還
この萩往還は、もとは参勤交代道として整備された道でしたが、庶民にとっても山陰と山陽を結ぶ陰陽連絡道として、重要な交通路となりました。
幕末には坂本竜馬や、吉田松陰先生などの維新の志士たちが往来していて、歴史の上で重要な役割を果たしました。旭地域には休憩用として明木市と、佐々並市が設置されて、旅人たちは疲れた体を癒していました。
萩往還は「国指定史跡」「歴史の道百選」「美しい日本の歩きたくなるみち」「夢街道ルネッサンス」「日本風景街道」などに、指定や選定もされています。
こうしたさまざまな歴史が刻まれた「萩往還」をぜひ歩いてみましょう。今回は萩市から、防府市へ向けて順にご案内します。
唐樋札場跡
(からひふだばあと)
唐樋札場跡は、江戸時代には萩往還の起点でした。ここでは幕府や藩の御触れを書き記した高札を揚げたり、罪人の見せしめが行われました。
萩城跡
萩城跡は、関ヶ原の合戦の後の1604年に築城しました。石垣と堀の一部が昔の姿をとどめていて、また春には桜が咲き誇ります。
涙松跡
(なみだまつあと)
涙松跡は、萩の町が見える最後の地点になります。旅人が行き返りに別れの涙やうれし涙を流したと言われ、吉田松陰の歌碑が建っています。
悴坂一里塚
(かせがさかいちりづか)
萩往還には唐樋札場を起点として、一里(約4km)ごとに大きな石積みの道標が建てられています。悴坂一里塚は、萩を出発してから最初の一里塚になります。
首切地蔵
この首切地蔵は処刑前の念仏のためなのか、それとも刑死者の供養のためなのかは不明です。首切地蔵と呼ばれ、戦争中までは地蔵尊を覆う建物がありました。
松陰記念館
(しょういんきねんかん)
松陰記念館には松下村塾が再現されていて、記念館の前には高杉晋作や、伊藤博文などの塾生の銅像が並んでいます。
明木市
(あきらぎいち)
明木市は萩往還沿いの宿場町として栄えた、石州赤煉瓦の町並みが特徴です。古民家の格子戸が、懐かしさを感じさせてくれます。
悴坂駕籠建場
(かせがさかかごたてば)
悴坂駕籠建場は、藩主一行が小休止するために設けられた施設のことです。
一升谷
(いっしょうだに)
一升谷はいり豆を食べながら歩くと、坂を登りきるまでにちょうど一升食べてしまうほど、長くて急な坂であることから一升谷と名がつけられました。
七賢堂の展望台
竹林道路公園の七賢堂の展望台からは、四季折々の景色とはるか萩沖の漁火まで見ることができます。
落合の石橋
落合の石橋とは、石組みの川岸から張り出した石を橋げたにした刎橋形式の橋になります。この橋は、山口県特有の造りになります。
佐々並市
(ささなみいち)
佐々並市は明木市とともに、萩往還の宿場町として栄えました。赤瓦の家が軒をつらねていて、その様子が風情がある町並みをつくっています。
上長瀬の一里塚
(かみながせのいちりづか)
上長瀬の一里塚とは、萩唐樋札場から5里、そして防府三田尻から7里を示す一里塚になります。自然石を組んだ当時のままの姿が残されています。
氷室の跡
(ひむろのあと)
氷室の跡は、昔の冷蔵庫のことです。山口の祇園祭へ氷を馬車で運んでいました。
一ノ坂銀山跡
防府国境碑から山口側へおよそ600mほど下ると、広範囲にわたって鉱山の坑道や鉱穴が点在しています。この近辺が毛利氏の長州藩初期における、財政の要となった「一ノ坂銀山」になります。
おわりに
そのほかにも板堂峠にある長門と、周防の国境を示す花崗岩の国境の碑や、萩往還道の最大の難所であった「一の坂」にあった、休憩所の六軒茶屋跡も見どころです。
ここからは遠くには山口の町並みが見え、これは萩からは最初に山口の町が見える場所にもなります。
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